伊藤先生の中国語学エッセイ
你好(ニイハオ)」という中国語の挨拶は、中国語を勉強したことがない人でも聞いたことがあるという人は多いでしょう。実際、これは「おはようございます/こんにちは/こんばんは」に当たる最も基本的な挨拶で、中国語の教科書には必ず出てきます。ただ、これは実際にはかなりかしこまった挨拶で、日本語で「こんにちは」と言うような場面で使うケースはかなり限られています。ところが、それとは別に、最近になって以前とはまったく違う意味合いで使われることが増えているようです。先日北京を訪れたのですが、街の人々を見ていると、通りすがりの人呼び止めるときや、飲食店で店員さんを呼ぶときや、窓口の担当者に話しかけるときに「你好」と言っている人にしょっちゅう出くわしました。そう、これはまさに日本語の「すいません」、英語の「Excuse me」に当たる言葉で、極めて実用的な表現です。現地に行く機会がある人はぜひ覚えておくといいでしょう。それにしても、以前はそれほど耳にする機会がなかった「你好」をこんなにも聞くことになるとは予想外で、改めて中国の変化というものをしみじみと感じさせられました。